体の治療における鍼灸治療も多様な流派が存在しているのですが、美容鍼灸にもいくつかの考え方や技法があります。
今回は美容鍼灸のカタチについて、皆さまに解説していきたいと思います。
美容鍼灸の基本
美容鍼灸を行うことで皮膚にどのような影響を与えることができるのか。まずは、それを簡単に説明します。
1.穴をつくる
鍼を刺すと皮膚に穴があきます。皮膚は外的なストレス(紫外線・ウイルス・細菌)から体を守るわけですが、そのバリアを一時的に弱めることによって、美容成分の浸透を高めます。このような原始的な手法は、発展した現代医学においても見受けられ、例えばダーマペンなど美容医療でも応用されています。
2.出血させる
鍼を刺すことで細胞は傷つき微小な出血がおこります。出血が起こると止血するために血小板がはたらきますが、その血小板が細胞成長因子やホルモンを放出することが分かっています。壊れた細胞を修復するために、そうした成分が細胞を生まれ変わらせる役割を果たすわけです。
3.筋肉のコリをほぐす
コリを客観的に判断する指標は、左右差や筋硬度計を用いて調べます。自覚的には疲れているとか、凝っているいう感覚があります。筋肉をほぐし緩めるのは鍼灸が最も得意とする領域です。筋弛緩剤やボトックスを打つよりもはるかに体への負担は少なく、副作用もありません。
これら3つの美容鍼灸の効果から、いくつかの技法が開発されて、多くの鍼灸院が美容鍼灸を行っています。
100本の美容鍼灸
100本という本数に限らず、顔に多数の施鍼を行う美容鍼灸があります。北川式美容鍼灸がそれにあたります。多数の鍼を刺す目的は、より多くの細胞を傷つけるためです。鍼の直径もあとに述べる手法よりも太いものを使用することが多いです。
特徴
多数の鍼による刺激は「肌バリアを弱め、多く出血させ、コリをほぐす」という、先ほど書いた美容鍼灸の効果をすべて満たしています。しかし、同時に内出血や痛みのリスクも増します。材料費も高くつくため、高額な料金のサロンも多いと考えられます。
電気を流す美容鍼灸
電気を流す美容鍼灸は、美容鍼灸に電気刺激を加える手法です。電気を用いた体への鍼灸治療は一般的に用いられ、鎮痛や血管拡張の作用が高まるという研究があります。電気を流す美容鍼灸は、使用する鍼の本数が少なくリスクが低いため、美容鍼灸のメインとなりつつある手法です。
特徴
鍼灸と電気刺激の組み合わせは血管・リンパ流・筋肉に作用し、老廃物の排出を助けて肌のトーンを明るくします。また、むくみも軽減します。小顔やハリ感などの実感を得やすい美容鍼灸の手法ですが、施術を行う鍼灸師により電気治療機器やリズムに違いがあります。
マイクロニードリング
マイクロニードリングは、微細な鍼が取り付けられた特殊な器具を使用し、皮膚を刺激して美容効果を得るための手法です。ダーマペンやダーマローラーがあります。このうちダーマローラーは鍼灸師が使用できる、唯一のマイクロニードリング療法です。
特徴
微細な鍼による刺激は皮膚表面を対象としていて、筋組織まで影響をあたえることはできません。しかし、簡易な道具を操作するだけで何千という微細な傷を手軽につけることができます。美容成分の浸透を高める効果や、薄毛治療における育毛成分の浸透を助けるため、AGAクリニック等で行われている治療法でもあります。
まとめ
美容鍼灸の手法は大まかにいえば「皮膚を傷つける、血行を良くする、顔の筋肉のコリを取る」ことが目的の美容法です。とはいえ、鍼灸師による考えや理念により、すべての美容鍼灸の手法を用いるかと言えばそれもまた違います。あなたに合う美容鍼灸サロンを見つけ、ぜひ美肌になるアクションの第一歩を踏みだしていただけると幸いです。